分子食理学研究室

研究室のあれこれ

 
〒374-0193 
群馬県邑楽郡板倉町泉野1-1-1
東洋大学 板倉キャンパス1号館
3階36研究室
   0276-82-9143(直通)        e-nail:yano_t@toyo.jp
研究内容

~生活習慣病の基礎病態を解析し、効果的な新規予防・治療法構築につながる基礎研究を通して健康寿命延伸に貢献~

 超高齢社会を迎えている現代日本において、がんをはじめとする生活習慣病にかかる人が年々増加しています。生活習慣病の中でも、がんは加齢とともにその発症率が増加する典型的な加齢病であり、死亡率も第一位を占め、新たながん予防・治療法の構築が強く望まれています。本研究室では、この強い社会的要望に応えるために、より有効性の高い安全な科学的根拠に基づく新規がん予防・治療法構築を目指して、食品由来の機能性成分(ファイトケミカル)の中で、ヒトにおける食経験があり(安全性が高い)、国から食品関連成分として認可され、多様な機能性が報告されているビタミンE同族体であるトコトリエノールに焦点を絞り、その多様な機能性に立脚した科学的根拠に基づく有効ながん予防・治療法の開発を目指して、研究を行っています。がん予防に関しては、代表的なビタミンEであるトコフェロールのヒト介入研究結果を統合して、統計解析(メタ分析)した結果、唯一ビタミンE類がその予防に有効との解析結果が得られた前立腺がんに絞って、トコトリエノールの有効性を分子標的予防的見地からその標的分子や作用機序解明を進めることにより、明らかにすることを試みています。それ以外にも、疫学調査から前立腺がんの予防食として効果があると推測される大豆等に含まれる機能性成分を使った予防法の可能性を検討しています。がん治療に関しては、トコトリエノールの抗がん活性を強化する目的で、トコトリエノールの不安定要因である抗酸化部分をエーテル結合でブロックした新規エーテル誘導体を合成し、難治性の高いがんの中で特に有効性が認められたアスベストにより誘発される悪性中皮腫に対する有効性を作用機序も含めて明らかにするために、この誘導体が作用する遺伝子群やシグナル伝達系を遺伝子パスウエイ解析等の最新の解析法を用いて、解析を進めています。がん以外には、死亡率ががんに匹敵する心臓血管疾患の基礎病態として重要な動脈硬化や健康寿命を縮める大きな原因になっている骨粗しょう症について、新たな視点からその病態を解析し、新たな予防法の可能性を検討しています。さらに、新たな研究として、日本人の国民病といわれているII型糖 尿病の合併症(骨質劣化型骨粗鬆症等)の新たな予防、治療法の構築を目指した基礎研究を開始しました。

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